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雑記帳

【ネタバレ】「あたし、どうしようもないことって好きよ」 芙蓉の浄土に安き給う 感想

 

いや~~~~~めっっっっっっちゃくちゃ良かった……………………………………

 

この記事は「芙蓉の浄土に安き給う」という18禁乙女向けノベルゲームのゆるゆるとした感想記事です。ネタバレありなので未プレイ方はご注意ください~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

www.dlsite.com

 

■ストーリー

フレキシブルに成長するとある国の都市。
流れ者の女――ミータオは、幼馴染のリョウと共に住処としていた貧民窟を政策で取り壊され、
今ではストリップ劇場の踊り子をしながらアパートで二人暮らしをしている。
かつて悪い薬に侵されていたリョウは、ミータオの介護をうけて薬断ちの最中だ。
そんなある日、ステージに一目惚れしたという富豪の男・ウツブシがミータオをつけ回すようになる。

ウツブシは言う。
「君は本当は、こんなところにいるべき者ではないのではないか」
リョウとミータオの関係は少しずつ壊れていく。

 

■概要

「芙蓉の浄土に安き給う(ふようのじょうどにおきたまう)」は背景、文章、音楽、音声のみで進行する一本道の18禁サウンドノベルです。

どこか噛み合わないまま日々を過ごしていく男女や、
出自からして自分を肯定する力が一切なく生きていることが後ろめたい男や、
そんな男を心から愛して支えようと空回りを続ける女や、
選択によってはけなげな女が、実にあっさり別の男に奪われてしまう展開が好きな人におすすめです。

つまり今回はマルチエンドです。選択肢は一度、エンディングは二種類です。

恋仲の男女が引き裂かれて、女が他の男に寝取られる展開を好ましく思わない方へはあまりおすすめできません。(DLsite様より引用)

 

はい!そういう展開大好きです!!……ということで、プレイさせていただきました。

 

プレイ時間は大体1時間ぐらいでした。音声全て聞いているわけではないので、ちゃんと再生したら2時間はかかるのかも。立ち絵とスチル無しなのは初めちょっと驚きましたが、プレイしていく内にどんどん物語にのめりこむことが出来たので、そこらへんは気になりませんでした。BGMが物語にしっかりあっていたのも良かったですね~「夢の時間」が一番好きです。

 

・ミータオ

ミータオの性格とか、言葉選び、ものの考え方、色んな要素が刺さりましたね……乙女ゲーやギャルゲープレイするときは主人公の性格や好きになれるかを割と重要視するタイプなのですが、ミータオはそんな私の心にどかーんと来てくれて良かったです……乙女ゲームの主人公をするタイプの女の子ではないと思うけど、そこが良い。こういうタイプの女の子が主人公で、ミータオとリョウちゃんのどうしようもない関係が乙女ゲームという枠内に収められていることに萌えますね。

手塚りょうこさんのお声を今回初めて聴いたのですが、かわいくてかわいくて……!!!!幼さを感じさせる鈴を転がしたような声がミータオにピッタリで、「原作と声が同じ!」と思いました。原作この作品なのに。

私がこの作品を購入する最後の一押しになったのが、記事タイトルにも引用させてもらったミータオのセリフでした。「あたし、どうしようもないことって好きよ」です。この台詞、序盤と終盤で出てきます。序盤ではあっさりとミータオがこの言葉を口にしたので「重要そうだったけど結構さらっと出てくるんだな~」くらいに思っていたのですが……終盤での使いどころが、ああ~~~~!!!!ここ!!!ここで来ますか!!そうですよね!?ここしかないですよね!!!!!!!って感じで……プレイした方ならわかっていただけると思うのですが、もうほんとドンピシャなとこで出してくるなあって思いました。そりゃあ、あのシーンに合う言葉はこれしかないよ。

ミータオの過去についてはああそっちも……ってなりました。予想していたものよりエグさマシマシのものをお出しされた。でもミータオの過去も踏まえてウツブシへの萌えが加算されるな……という良くないオタク感情も湧きました。

 

・リョウ

キッツ………………生まれてから、というか生まれる前から今日まで人生キツすぎるエグすぎる。ミータオに出会えたことが唯一の幸せであり最大の不幸であるリョウちゃん。性格とか考え方とか何から何まで明るい未来が見えませんが、そもそもリョウちゃんがこうなったのは悲惨な境遇のせいで……という悪循環ぐるぐる男です。はじめから詰み切っている男の描写が上手い……。加えてミータオという女神の存在が今のリョウちゃんを完成させたわけですが、そもそもミータオがいないと多分リョウちゃんは精神的にせよ肉体的にせよとっくの昔に死んでいて……でもいっそ早めに人生終わったほうがまだ幸せだったのか……?と考えていたところにあのEDですよ……!!!ミータオが思っていたこと大体ぶちまけてくれたのでいっそ爽快感すらありました。リョウちゃんはどうしようもない甘ちゃんなわけですけど、そんな赤ちゃんみたいなリョウちゃんがミータオは好きで好きでしょうがないんですよね……。それは恋というには甘さがなく、愛というには重すぎる感情な気がしますけど、名前を与えてくれたあなたとずっと一緒にいたいというある意味純粋すぎる感情に突き動かされた結果があの実質心中EDだと思うと……。

ウツブシEDでの彼もね……そういう死に方か~~~……ってなりましたね。自殺とか餓死とか中毒死とか事故とか、そういうのだけで済ませないのが辛いけどリョウちゃんらしい終わり方だなあとも思います。ミータオもなんですけど、リョウというリアルにもいそうな人物(境遇ではなく、物事の考え方とかそういう部分です)をキャラに落とし込みつつ書ききるのがすごいなあと思いました。なんかこう、こういう人間はこういう考え方をしてこういう転がり落ち方をしていくだろうな……って納得がいく描写のしかたというか……語彙力なくて申し訳ないです。

 

・ウツブシ

いや、好き~~~~~~~~~~

クリア後に読める製作者インタビューで、シナリオをお書きになった山野様が「リョウちゃんとウツブシなら、世間ではウツブシ派の方のほうが多そう」みたいなことを仰っていまして……見事にウツブシ派な私は変な声を出しながら読んでました。

ウツブシ好きな方の8割は一致すると思うのですが、私が一番好きなウツブシはリョウEDのウツブシでして……!!絶対に手に入らないものをいつまでも追い続ける傲慢な男だ~~~いすき!!!!!!!それまでのどこまでも嫌味な金持ち男のウツブシも可愛くてニコニコしながら読んでいたのですが、あのラストでもうほんと「待ってたよ!!!!!!」って満面の笑みを浮かべました。ウツブシくん、君のような人間はああいう展開が一番輝く。久々に好みドンピシャの高慢ちきな金持ち男を浴びられて私は幸せです。

ひたすら悲痛な運命に翻弄されるかわいそ可愛いリョウちゃんに対し、ウツブシは自我バリバリというか自分は持っている男だというような主張をしてきますが、彼等の本質?根本?はそう変わらないんだろうなと思いました。……なんだろう、どちらも親やミータオ存在によって現在の人格が形成されていますし……ウツブシは「君は罪の子。この娘を娶るようにと父が命じた。私はそれこそが力であり、人間であると首肯した」「父からすれば、飼い犬に手を噛まれたも同然だ。その雪辱を濯ぎ、改めて君の心を手折ってこそ私の力が誇示される」と口にしています。彼からすればミータオを支配することは罪と父の存在を越えること…それらをも支配すること……彼の人生に絡みつくそれらを支配して初めてウツブシの力が誇示される……でもそれに執着している時点で、それはある意味ウツブシもまた支配されていることになるのでは?いやでも、それをわかってるから支配したいわけで……みたいなことをぐるぐる考えています。私に考える力が無さすぎるのが残念ですが、やっぱり無い頭なりに考えて、そういうウツブシが好きだなあと改めて思いました。

 

ウツブシとリョウちゃんがそう変わらないならウツブシにも可能性はあったのかというと、それは多分なくて……私は彼はどんな運命でもミータオの心に真に響くことはないのだろうと思います。リョウENDのように人間らしいところを見せられればまた別かもしれませんが……でもあれはミータオが本当に女神になった結果だからなあ……
阿芙蓉の浄土に逃げ出されてはじめて「好きよ」という言葉を貰えるウツブシくん……かわいい…………

 

・スファン

他ゲーだったら絶対ルート開くやつじゃん!!!メイン二人のED見てタイトル戻ったら「新たなシナリオが解放されました」って表示されるやつじゃん!!!!

キャラ的に一番乙女ゲーっぽくなかったですか???いや、スファンもルート入ったらヤバ男なのかな……。容姿とか喋り方とか垣間見える性格とかここまで乙女ゲーの登場人物です!感を出しておいて攻略出来ないのバグじゃん……派の私と、この作品のヒロインがミータオである限りスファンは攻略対象にならない派の私がいます。調べたらウツブシと一緒に音声作品が出ているそうなので、有難く購入させていただこうと思います……!スファンの作品が出るの、オタクの需要をめちゃくちゃ把握されている……。

 

 

面白かった……癖にぶっ刺さった……キャラも世界観もストーリーもBGMも、どれも素敵でした。楽しい時間をありがとうございます。サキュレント様のゲームは「ドブ川に散りぬ初恋の」と「慰愛の詩」を購入済みですので、時間を置いてプレイさせていただこうと思います。今はもう少しふようどの余韻に浸っていたいです。ああ~~~良かった!めっちゃ良かった!!