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雑記帳

1月に読んだ本とか

1月に読んだ本の軽い感想記事です。読み終わってその都度書いていたのでテンションに差がありますが、どの作品もそれぞれ楽しみました。1月のベストを決めるとしたら「ピエタとトランジ」かな……これに関してはほんとにうまい言葉が見つからなかったのでとりあえず気になる方は全員読んでほしい。以下、順不同 敬称略です。

 

 

「私は幽霊を見ない」/藤野可織

面白かった。藤野先生の作品に触れたのは初めてでしたが、すらすらと読めるとても読みやすい文章と淡々としつつも先を気にならせる語り口、作中で語られる各々の恐怖体験の絶妙な怖いさといい、良いホラー作品だったと思います。

私も筆者と同じく霊感0でお目にかかれるものならお目にかかりたいけれど、まあ一生見ることはないのだろうな……みたいな人間なので読んでいる間共感できるところが度々ありました。まあ私は心霊スポットに行ったりは出来ないけど。びびりなので。

 

「走馬灯のセトリは考えておいて 」/柴田勝家

表題作に吸い寄せられてかった1冊。柴田先生は「デッドマンズショウ」ぶり。

表題作も期待通り面白かったのですが、個人的には「絶滅の作法」が刺さった。私は絶滅寸前/絶滅後の世界で極々普通の生活を送るひとの話が好きなのかもしれない。「ヒト夜の永い夢」も積んであるので近いうちに読もうと思う。

 

「腹腹先生」3、4巻/高口楊

 

1,2巻は去年に読了。2巻でなんか方向性変わったな?と思い、3巻でまた変わったのだけど良い方向に突っ走ってくれてよかったな~と思った。弥生vsゆきことかも好きなんですけどね。暴力の場であえて言葉でやりあうのって癖です。

牛久が結構好きだったのですが、そんな綺麗な終わり方させてもらっていいのか……!?ってちょっとびっくりしました。でもあの終わり方含めて良いキャラだったなあと思います。「妻を叩いたら以前の妻に戻ってくれると思ったようだがなぜか動かなくなった」ってのがもうほんとにどうしようもなさすぎて好き。個人的に穏やかな面も別に猫被ってたわけじゃなくて本当ってのがグッと来ました。穏やかなのも暴力的なのも牛久。あと徴さんがまあ~わかりやすく好きで……!この手のおっちゃんに弱い。徴さんのキャラ紹介に「美女に弱く転がされるのが大好き」って書いてあるのも良い。転がされてるってわかってて転がされちゃうんだ…それが大好きなんだ……へえ~……ってなった。

31話まで読んで爆発オチってやっぱサイコー!ってなって、最終話を読んでああ……こういう結末なのね……としみじみしていたところにおまけをぶち込まれて感情めちゃくちゃになりました。鎧塚京介と津雲あずさ~~~~~~~~~~~!!!!!!!!…………この二人の関係性が迎えた結末は、男女バディ好きにはそりゃあまあ良いものでしたよ。でも別の私がさあ……喚いててさあ…………!!!二人の間にあった感情が正確にはどんなものだったかなんて私にはわかりません。でもあずさが鎧塚に家を渡したこと、「あの人が元気ならよかった」と亡くなる直前まで彼を気にかけていたこと、鎧塚があずさとの約束を守り、家を大事にして家庭をもって自分の人生を取り戻したことが答えだと思います。息子くん、親父のことは理解できないと思いつつ出かける報告はちゃんとするし鎧塚さんも鎧塚さんで「8時には帰れよ」って返すの……このやりとりだけで、ああ良い親子関係を築けたんだなとわかるのがいいですよね。ああ~~~~~でもなあ、私は津雲あずさが愛する妹と幸せに生きる世界線も見たかったですよ!!!やったことにはケジメを着ける物語だったってわかるけどさあ!でも、例えあずさが出所してもこの二人は恋愛関係には至らなかっただろうなあ……鎧あずを見たかった気持ちはあるけど…あるけど……。鎧塚にとってあずさは本当に爆弾みたいな存在だっただろうなと思います。ある日突然目の前に現れて、過去とか思い出とかしがらみとか全部を一気に巻き込んでぶち壊して、爪痕だけ残して当の自分は跡形もなく消えていって……ああ~~~!このラストはほんとにしばらく引きずるだろうなと思います。ジャンプラで連載追ってた人も4巻だけは買ってくれ!このおまけを読むか否かで物語の深みがぐっと変わると思うので!!

 

「夏目アラタの結婚」9巻/乃木坂太郎

父親あんたかいっ!!!!!いや~踊らされた……私、宮前先生のこと勝手に若いと思い込んでいたので自然と父親候補から外してました……でも、よく考えれば父親側はあんまり年齢関係ないですよね。現に環と関係を持った時の宮前は10代だったわけですし。逆に卓斗の父親のほうはまあそうだよね……って感じでした。でもそうなると彼の父親は誰なんでしょう。私は卓斗と真珠が実は姉弟だったりする?とか考えてたんですが、さすがに宮前が卓斗の母親と……ってことはないでしょうし。うーん。

環の魔性っぷりもまあ~ここまでくるとさすがに笑っちゃうくらいですね。77話の扉絵がほんと好きです。環とアラタが出会ったらどうなっていたんだろうなあ。

真珠は相変わらず得体の知れない不気味さと可愛さが同居している感じで良かったです。超キュート。私たちは真珠の掌の上で転がされている。

10巻は沙菜ちゃんが出陣するみたいですが、ここからどうなるんだ……全てまるっと回収して願わくば何かしらのハッピーエンドに行き着いてほしいですが、それが誰にとってのハッピーエンドになるのかわからないのがなんとも……でもなんらかの形で真珠が救われてほしいなあと思ってしまうくらいには、真珠の事が好きになっていたんだなあと打っていて思いました。1巻時点ではとんでもないヒロインだなと思っていたのに……。

この作品、高クオリティという前提があるならアニメより実写化希望なんですが、やるとした主演二人は誰になるのかな。私はどうしても真珠を若いころの大…し…ぶさんで再生してしまうし、アラタは長…智…さんなので今の時代でやるとどうなるのか想像がつかないです。

 

ピエタとトランジ」/藤野可織

今年度最高の1冊決まったのでは?

未読の作者の本を2冊も積んでいたなんて私なかなかやるな~と呆れ半分感心半分だったのですが、結果的にどっちも面白かった。藤野先生の作品他も読みます。

倫理観的にどうしても、ん~?となるとことかあったのですがそういうのまるっとひっくるめてこの世界を形作ってることは伝わりましたし、あらゆるもやもやも切なさも全部巻き込んでぶちこわして最後まで駆け抜けていってくれて最高の1冊でした。面白い。ただただ純粋に面白い作品でした。ラストにプロトタイプにあたる短編持ってくるのが最高にクール。

 

「拝み屋怪談 花嫁の家」/郷内心瞳

少年漫画の文脈だこれ!!!

vs真也くんのとこで気づいた。車運転しながら攻撃仕掛けてくるのすごいなと思いました。私は二つのこと同時に出来ないので。

ずっと読みたかった1冊だったので、こうして新装版が出てくれてよかったです。電子はずっとあったんですけどね。でもホラーはなんか紙で読んだ方がいい気がして……!

読む前に想像していた怖さとは違い、どちらかと言うとヒトコワ系の怖さだったのですが(とはいえ、そのヒトコワ要素も魅入られたが故みたいな説明はありました)面白かったです。理由あって絶版していたらしい本作に対して適切な言葉選びではないかもしれませんが……。私は「残穢」とか「どこの家にも怖いものはいる」とかが好きなので、バラバラだった恐怖体験達がひとつに収束したのは結構テンションあがりました。全員血縁者っていうのはちょっと出来すぎかな~とも思ったのですが、横溝作品的な呪われた一族要素も好きなのでそっちの方向でわくわくしましたね~。あと花嫁の家で千草が出てきたシーンはベタだけどグッと来ました。私はああいう死者の再登場シーンに弱い。

郷内先生の作品は「怪談始末」と「トガハラミ」だけ読んだことがあったのですが、今作が一番満足感があったかもです。トガハラミの官能的な感じも素敵でしたけどね…!「壊れた母様の家」も近いうちに読もうかなと思います。

 

「ヒト夜の永い夢」/柴田勝家

敵の親玉と厠で邂逅するのって、一周回ってめちゃくちゃおしゃれなのかもしれないと思った。

トイレってお風呂と同じかそれ以上に人間が最高に無防備になる空間だと思いますし、排泄という人間なら誰しも逃れられない行為を共にしたから南方先生と北はあの一瞬限りなく近いところに触れあえたのかなあと真面目に考えました。この二人、名前からして対比になってるの面白いなと思ったら柴田先生ご本人がインタビューで触れていました。「熊楠の歪んだ鏡像のような人物として登場させた」とのこと。そういうのに弱いオタクなのでにやりとさせられましたね……。

歴史よわよわなので恥ずかしながら名前を知らなかった登場人物も何人かいらっしゃったのですが、そういう部分を差し引いても面白かったです。最後のほうなんかもう彼らと一緒にノンストップで駆け抜けていったので物語が終わってしまうのが寂しかった……寂しさを感じさせつつも穏やかで美しいラストはそのまま冒頭に戻ってしまいたくなるような魔力がありました。あ~~~終わっちゃったな……。

 

「テスカトリポカ」/佐藤究

どいつもこいつもナチュラルにキメるな。

と言っても矢鈴が職場で吸うシーン、スマホだの甘いものだのカフェイン系の飲み物だのあらゆるものに依存してきた身としてはこの書き方はめちゃくちゃリアルだな~と思いました。依存している内はそれを家の外やひどいときは職場なんかでやることに脳が疑問を覚えないんですよね。あとから冷静になって考えると、いやいやどう考えても職場まで持っていくものではないだわかるんですけどね。睡眠時間削ってまですることじゃないだろってなったりね。

fgoの7章後半開幕が延長されたので、今だ!と思い読みました。リベルタ中心の話はちょっと取っつきにくいかな…ちゃんと読み終わるかな?と少し不安に思いましたが、バルミロとタナカの邂逅あたりからは読むスピードが上がっていきました。個人的には露骨に盛り上がるシーンがもうちょっと中盤にほしかったかも……と思いましたが、これは私がアステカ神話にそこまで興味を持てなかったのが原因だとも思うのでこういう神話や宗教要素に興味津々な方にはたまらない物語になっているはず……!マタイによる福音書も重要な要素として絡んでくるぞ!身に着けよう教養…………。

純粋に好きなのはパブロなんですけど、なんかこう圧倒的””暴力””の化身としてチャターラが好きでした。平山作品の影響が強いんですけど、私ははちゃめちゃに暴力的なおでぶキャラが好きなのです。こういうタイプが出てくるとわくわくが止まらない。他のキャラと比べて宗教や薬や裏社会などと繋がりが薄かった…というかそういうの関係なしに存在してたわりにいざ物語に取り込まれると登場人物中で上位の強さという異質感も良い。出来れば彼の暴力シーンももっと見たかったな~~~と思いつつ、そういう話ではないだろということもわかっております……あくまでなんか突然発生したサイコパス暴力おでぶさんなので……。読み終わって検索したらみんな末永に萌えてた。知ってた。薬もやるけどそれはそれとして心臓血管外科手術サイコーや!なキャリーフクナガ似の元心臓血管外科医に萌えないオタクはいない。

多数の人間を巻き込んだ暴力的なストーリーの終わりとしては、あのラストは非常に穏やかで美しいものだったな~と思いました。上にも書きましたが私はパブロが好きだったので彼が最大限報われるラストでなんだかほっとしました。シチュエーションがシチュエーションなだけに、直前までほんとにドキドキしたので……。

 

「名画で読み解くハプスブルク家12の物語」/中野京子

中野先生の本を読むと自分も歴史に興味を持てる気がするから不思議です。去年?一昨年…?怖い絵を読んでみたところあまりの面白さにシリーズを一気に駆け抜けてしまったことが記憶に残っています。怖い絵シリーズにはまる前は、絵画界隈はなんだか敷居が高いイメージで私ゴッホの良さとかよくわかってないけど大丈夫か!?みたいな感じだったのですが、中野先生のおかげで良い意味でハードルが下がったというか、わ~すごい~くらいの軽い気持ちで絵を鑑賞しても良いのだなとわかり心が軽くなりました。ちなみに私は怖い絵シリーズに載っている絵だと「イワン雷帝とその息子」が一番好き!ハプスブルク家のほうだと「ウェルトゥムヌスとしての皇帝ルドルフ2世像」が一番好きです。一度、生でお目にかかりたいなあ。

フアナやカルロス二世、「ラス・メニーナス」に関しては、あ!怖い絵で読んだとこだ!!となりわくわくしましたし、アンリ2世のくだりでは美貌の人で出てきたおねショタの人だ!!!!と大変テンションがあがりました。アンリ2世とディアーヌのエピソード、インパクトすごすぎです。こんな感じで中野先生の本を幾つか読んでいると割と被る部分もあったのですが、改めて各人の持つエピソードの強さを再認識出来て楽しかったです。

オタクとしてはフリードリヒ大王とマリア・テレジアの関係性に萌えた。フェリペ二世とエリザベス一世の関係をなぞる形なのがまずエモすぎません????半年程のずれがあるとはいえ同じ1740年に即位したふたり。ばちばちにやりあいつつもマリア・テレジアの息子ヨーゼフがフリードリヒのファン化したり会見したりしちゃってるのも良い……ほんとにこの二人が結婚していたらどうなっていたんでしょうね。歴史かなり変わっただろうなあ。

ロマノフ家のほうも買ったので近い内に読みます!楽しみ!

 

「末永くよろしくお願いします」2、3巻/池ジュン子

1巻買ったの発売してすぐくらいだったので読んだの2年とちょっとぶりくらい……?今年はあまり触れてこなかったジャンルに挑戦しよう!yearなのでSFと少女漫画に積極的に触れてみようと思い……こちらを手に取りました。そもそも少女漫画畑で育った人間でバリバリちゃおっ娘だったのですが、いつの間にやら少女漫画の特定の要素に対して軽く地雷っぽい感じになってしまい足が遠のいていました……池ジュン子先生の作品も今回が初ではなくて、「水玉ハニーボーイ」は3巻まで読んでいました。途中で止まってしまったのは私の微妙なめんどくさいプチ地雷みたいなものが原因でして、それ以外の要素やメインカップルのかわいらしさに関しては池先生をめちゃくちゃ信頼していたので、この作品ならいけるだろ!とどーんと続きを買ってみた感じです。前置きが長い。

輝と清水さんの関係、かわいい……清水さんがきちんと大人として、保護者としての目線を輝のために保っているのが良い。彼がほんとに良い人で、輝が惹かれるのもめちゃくちゃわかる一方でどうやってこの鉄壁ガードを崩すんだ!?とも思ってしまう。一方的にキスした仲ではありますが、ここからどうやって恋愛関係に持っていくのだろう……このままわちゃわちゃ終わるのでしょうか。3巻がそこ切り込むか~って感じで終わったので4巻でなにか進展あるのかなあ……!?

3巻表紙裏の煽り文に若干恐怖を抱いていたのですが、いざ読んでみたら意外と受け入れられてよかった……私の少女漫画地雷のひとつがヒロインの過激なセコムキャラで、尚且つセコムキャラの暴言等をほんとはいい子だから…とヒロインが諫めずにいると倍率ドーンなのですが心ちゃんは割とアフターフォローが早かったり輝がちゃんと手綱を握ってる?感じになっていたので受け入れられました。警戒してごめんね…この峠を越えられるかが割と重要なので…私の中では……。

4巻も近い内に読みたいと思います……!他の少女漫画もばりばり読むぞ!

 

「ミステリと言う勿れ」12巻/田村由美

風呂光メインの巻。ドラマのイメージが強かったので、そういえば原作の彼女はこういう雰囲気だったなあと再認識した巻でした。

毎回一応自分なりにぼんやり考えながら読むのですが、相変わらず全然わからない……流さんが怪しく描かれていますが、ここまで怪しいと妙子さん殺しの犯人ではないんだろうなあ…とメタ的に考えることしか…あとant=蕪木さんだよね?くらいしか考えられませんでした。13巻読んだらテラリウムに妙子さんのブローチ使われてるとかそんな嫌な展開じゃないだろうな……。

整くんとライカさんの関係が好きなオタクなので、離れていても美しい情景を共有するふたりが見れて良かったです。他人のスマホ勝手に使うのはダメだけど…!このふたりの関係、明確に終わりがあることが示されているからこそさよならするその時まで美しい思い出を積み上げていってる感じがめちゃくちゃ好きなんですよね……。

 

 

11月、12月はメンタル的に本があまり読めなかったのですが1月はちょっと読めるまで回復したことが自分でもわかったので良かったです。「荒地の家族」と「インヴェンション・オブ・サウンド」を買ったので2月中に読めればいいな~と思います。「地図と拳」「君のクイズ」「俺が公園でペリカンにした話」あたりも買いたいなあ……。